
院長:飯田お気軽にご相談ください!
お子さんが深夜になってもなかなか眠れず、スマホを手放せないまま朝になっても起き上がれない。そんな毎日に、ため息をついていませんか?「また夜更かしして…」と声をかけても、お子さんに伝わらず、親子でぐったりしてしまう。そのしんどさ、すごくよくわかります。


今回は、起立性調節障害と夜更かし・生活リズムの乱れ、そしてスマホの影響について、整体師の視点からじっくりお話しします。


「夜更かしが原因なの?それとも病気だから眠れないの?」——来院されるお子さんを持つ親御さんから、この問いを何度も聞いてきました。どちらが先かという議論より、今どんな悪循環が起きているかを知ることの方がずっと大切です
起立性調節障害のお子さんを持つ親御さんが最初にぶつかる壁が、「夜更かしが原因でこうなったのか、病気だから眠れなくなったのか」という問いです。この問いに一言で答えを出せる人は、正直なところ誰もいません。なぜなら、この2つは「どちらが先か」という話ではなく、互いに相手を悪化させながら深みにはまっていく悪循環の構造になっているからです。
起立性調節障害は、自律神経——特に交感神経と副交感神経のバランスが崩れることで起こります。朝に血圧や心拍数をうまく上げられないため、立ち上がろうとすると頭痛やめまい、吐き気が起きて体が動かなくなります。
ところが、夜になると不思議と体が動くようになる。これは自律神経の調節がうまくいかない状態そのものの特徴なのです。
昼間ぐったりしていたのに、夜になると急に話しかけてきたり、スマホを触り始めたりする。「仮病じゃないの?」と思ってしまった親御さんもいるかもしれませんが、これは本人が意図してやっていることではありません。
起立性調節障害では、体内時計の調節がうまく機能しなくなることがあります。健康な状態では、朝になると体温が上がり、コルチゾールというホルモンが分泌されて交感神経が活性化し、「起きる準備」が整います。
しかし起立性調節障害では、この朝の活性化スイッチが入りにくい。一方で、夜は交感神経がある程度働けるため、相対的に「夜の方が調子がいい」という状態になりやすいのです。
夜になって少し元気になったお子さんが手を伸ばすのが、スマホです。ここに、悪循環をさらに加速させる大きな問題が潜んでいます。
スマホやタブレットの画面から出るブルーライトは、脳の中で「今は昼間だ」と錯覚させる働きをします。ブルーライトを浴び続けると、眠りを促すメラトニンというホルモンの分泌が抑制されます。結果として、深夜1時・2時になっても全く眠気が来ない状態が作られてしまいます。
これが「睡眠相後退」と呼ばれる状態です。体内時計が後ろにどんどんずれていき、自然な眠りが来るのが深夜から明け方になってしまう。こうなると、翌朝起きることはほぼ不可能になります。
ブルーライトだけが問題ではありません。SNSや動画、ゲームといったコンテンツは、次々と刺激を与え続けることで交感神経を興奮状態に保ち続けます。夜は本来、副交感神経が優位になって体をリラックスに導く時間帯です。
ところが深夜にスマホで興奮し続けると、この切り替えが起きません。交感神経が過剰に活性化したまま朝を迎えてしまうため、朝の「交感神経スイッチ」がさらに入りにくくなる。これが毎日繰り返されることで、体内時計の乱れはどんどん固定されていきます。


順を追って整理すると、起立性調節障害による夜の元気→スマホを手に取る→ブルーライトと脳の興奮→メラトニン抑制→深夜まで眠れない→睡眠時間の後退→翌朝さらに起きられない→日中の活動がほぼゼロ→夜また元気になる、というサイクルが完成します。
この流れが毎日繰り返されることで、月単位・年単位で症状が固定されてしまうケースが少なくありません。「どちらが先か」よりも、「今この悪循環のどこにいるか」を見ることが、回復への第一歩です。
「わかった、じゃあスマホを取り上げよう」——そう思った方、少し待ってください。もちろんスマホの使い方を見直すことは大切ですが、力ずくで取り上げることが逆効果になることもあります。
大切なのは、お子さん自身が「変わりたい」と思えるような環境を少しずつ整えることです。親が一方的にルールを課すのではなく、「夜中にスマホを使い続けると体にこういうことが起きているんだ」という仕組みを一緒に理解することが、長続きする変化につながります。
まず、夜のスマホ使用について親子で話し合い、就寝2時間前からの画面使用を減らす方向を目指してみてください。強制ではなく「やってみよう」という提案が大切です。
次に、朝の光の取り入れを意識します。カーテンを少し開けて、朝の自然光が部屋に入るようにするだけでも、体内時計のリセットに働きかけることができます。
そして、起きられなくても責めない環境を作ること。「また寝てる」という言葉が毎朝降り注ぐ環境は、お子さんの自己肯定感を下げ、回復の意欲も奪ってしまいます。
「早く寝なさい」と言っても寝られないのは、意志の問題ではなく体の仕組みの問題です。睡眠相が後退した状態では、深夜になるまで物理的に眠気が来ません。早い時刻にベッドに入っても、ただ天井を見つめているだけになります。
これはさぼっているのではなく、体内時計が狂っているからです。この点を理解していただくだけで、「なぜ言うことを聞かないんだ」という苛立ちの感情が、少し「そうか、体がそうなっているんだ」という理解に変わってくることがあります。
旗の台整体院では、起立性調節障害のお子さんに対して、自律神経のバランスそのものに働きかけるアプローチをしています。体の特定の部位への施術が、交感神経と副交感神経の切り替えを促し、硬くなった筋肉や関節のつながりを整えることで、自律神経が本来の働きを取り戻しやすい状態を作っていきます。


当院には自律神経測定器を導入しており、初回に数値で現在の自律神経のバランスを確認することができます。数値として見えることで、お子さん本人も「自分の体がこういう状態なんだ」と理解しやすくなりますし、施術を重ねる中での変化も実感しやすくなります。
施術だけで全てが解決するとは思っていません。夜のスマホ使用の見直し、朝の光の取り入れ、無理のない起床時刻の調整——こうした日常の小さな積み重ねと、自律神経へのアプローチを組み合わせることで、少しずつ体内時計を正しい方向に戻すことができます。
「どのくらいかかりますか?」とよく聞かれます。個人差があるため正直に言えば、数ヶ月単位でゆっくり改善していくケースが多いです。ただ、適切な方向に向かい始めれば、必ず少しずつ変化が出てきます。焦らず、でも諦めずに向き合うことが大切です。
このブログを読んでくださっている方の中には、もうすでに数ヶ月、あるいは1年以上お子さんの症状に悩んでいる方も多いと思います。「もっと早く対応すれば良かった」と後悔している方も、いるかもしれません。
でも、遅すぎることはありません。今日この仕組みを理解したことが、回復への第一歩になります。
夜更かしが続いているのはお子さんの意志が弱いからではなく、生活リズムの乱れと自律神経の問題が絡み合ったものです。そしてその悪循環は、正しく理解して適切にアプローチすれば、必ず変えられます。


一人で抱え込まずに、ぜひご相談ください。お子さんのこと、親御さんご自身のしんどさも含めて、何でもお話を聞かせてください。一緒に考えていきましょう。


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