
院長:飯田お気軽にご相談ください!
「朝はまったく起きられないのに、夕方になると急に元気になる…」そんなお子さんの姿に、困惑したり、もしかしてサボっているのではと疑ってしまったりしていませんか。
これは起立性調節障害の典型的な症状のひとつで、決して本人の意志や怠けが原因ではありません。体の中で何が起きているのかを正しく知ることが、回復への大きな一歩になります。


この記事では、なぜ午後から夕方にかけて症状が和らぐのか、そしてその時間帯をどう活かせばいいのかを、できるだけわかりやすくお伝えします。


毎年多くの起立性調節障害のお子さんと向き合ってきた中で、「夕方は元気なのに」という言葉をご家族からよく聞きます。この日内変動の仕組みを知るだけで、接し方がガラリと変わることも多いので、ぜひ最後まで読んでいただけたら嬉しいです
起立性調節障害は、自律神経の働きが乱れることで、血圧のコントロールや体内時計のリズムに支障をきたす状態です。特に中学生を中心とした思春期に多くみられ、中高生のおよそ10人に1人が経験すると言われています。朝は血圧が活動レベルまで上がらず、頭痛やめまい、だるさで身体を動かすことができません。ところが、時間が経つにつれて自律神経が少しずつ機能しはじめ、午後から夕方にかけて症状が楽になってくるのです。
この「時間帯によって体調が大きく変わる」という特徴が、周囲の誤解を生みやすいポイントです。午前中に全く動けなかった子が、夕方になるとゲームをしたり友人と話したりしている姿を見ると、「仮病では?」「気持ちの問題では?」と思ってしまうのも無理はありません。
でも実際には、自律神経の働きは自分の意志でコントロールできるものではなく、同じ状態であれば大人でも抗うのが難しい、純粋な身体の機能の問題です。「怠けている」のではなく、「身体がまだ動ける状態になっていない」という理解が、まず何より大切になります。
起立性調節障害の根本には、自律神経の日内リズムの乱れがあります。健康な状態であれば、朝目覚めると交感神経が活性化して血圧が上昇し、日中は活動モードが維持されます。ところが起立性調節障害では、この朝の交感神経の立ち上がりが遅く、体が「活動の準備ができた」と判断するのに時間がかかります。その結果、午前中は血圧が低いままで全身の血流が不足し、脳や各臓器への酸素供給も滞ってしまうのです。
時間が経過して午後になると、重力や体温の変化、活動量のわずかな蓄積によって交感神経が少しずつ活発になり、血圧も安定した水準に近づいてきます。これが「午後から夕方にかけて元気になる」という現象の正体です。
「午後に元気になること」は仮病の証拠ではなく、起立性調節障害に特有の自律神経の日内変動そのものです。
うつ病と症状が似ていると言われることもありますが、起立性調節障害の場合は午後から夜にかけて気分も体調も回復するという明確な違いがあります。この点を知っておくだけでも、お子さんへの接し方や声のかけ方が変わってくるのではないでしょうか。
「夕方には元気になる」という事実には、実はもうひとつ大きな問題が隠れています。夕方から夜にかけて活動できるということは、自然と就寝時間が遅くなりやすい、ということです。
起立性調節障害のお子さんは、体内時計のリズム自体がずれていることが多く、夜になってもなかなか眠れない状態が続きます。さらにスマートフォンやゲームの光が交感神経を刺激して覚醒を促してしまうと、ますます眠れなくなり、翌朝の起床がより困難になってしまいます。


夜が元気だからといって活動を制限しすぎるのも精神的につらいですが、夜の過ごし方が翌朝の状態に直接影響するという意識を持つことはとても重要です。この悪循環を少しずつ和らげることが、回復への大切なステップになります。
夜に元気になること自体は、体が少しずつ動き始めているサインでもあります。ただし、その時間帯の過ごし方が翌日の体調を左右するため、いくつかの点を意識しておくといいでしょう。
完璧にこなそうとしなくて大丈夫です。できることからひとつずつ、というスタンスで十分です。
午後から夕方にかけての活動できる時間は、ただ元気になっているだけでなく、回復に向けての「ゴールデンタイム」として活用できます。ここで体を少し動かしたり、日光に当たったりすることが、体内時計のリズムを整えるうえで非常に効果的です。
日光を浴びることで体内でセロトニンが生成され、夜になるとそれがメラトニンに変わって自然な眠りを促します。午後に少し外へ出て日の光を浴びるだけでも、夜の睡眠の質が変わってきます。外に出ることへのハードルがまだ高い場合は、窓際で日光を受けるだけでも効果があります。
軽いウォーキングやストレッチも、夕方以降に少しずつ取り入れると血流が改善し、自律神経のバランスを整える助けになります。ハードな運動は逆効果になることもあるため、「少し身体を動かした」と感じる程度で十分です。また、学校の欠席日に夕方から外出することに後ろめたさを感じるご家族もいらっしゃいますが、体力維持と睡眠の質のために動けるときに外出することは、むしろ回復に欠かせないことです。
学校への復帰や学習の遅れを心配されている保護者の方も多いと思います。起立性調節障害のお子さんにとって、午前中に無理に勉強させようとしても、脳への血流が不十分な状態では集中力もなく、本人を追い詰めるだけになりかねません。午後から少しずつ取り組む、夕方から先生とオンラインでやり取りするなど、体調の良い時間帯に学習を組み込むことが、現実的かつ効果的なアプローチです。


お子さんが起立性調節障害と診断されたとき、最もつらいのは「理解してもらえない」という孤立感かもしれません。学校の担任の先生、祖父母、ときには夫婦間でも「さぼっているのでは」という疑念が生まれることがあります。
そのような場面で大切なのは、「午後に元気なのは病気だから」という医学的な根拠を、具体的な言葉で説明できるようにしておくことです。「自律神経が朝に立ち上がれないため血圧が低く、午前中は活動できない。これは本人の意志でどうにかなるものではない」というシンプルな説明ひとつで、周囲の反応が変わることは少なくありません。
学校側への働きかけとして、診断書や主治医の説明書を提出すること、遅刻や欠席に対して別室登校や保健室利用の選択肢を相談することも有効です。また、学校に行けない日でも午後に体調が戻れば外出できるという事実を共有しておくと、「学校だけ行けない」という周囲の誤解も解きやすくなります。
起立性調節障害に対して、整体では何ができるのか、と思われる方もいらっしゃると思います。当院では年間5000人以上の方と向き合う中で、起立性調節障害のお子さんのサポートにも多数取り組んできました。
起立性調節障害は複数の要因が絡み合って起きる症状です。急激な身長の伸び、ストレス、姿勢の崩れ、睡眠リズムの乱れ、栄養の偏りなどが重なり、身体の持つ自然治癒力の限界を超えた状態と考えることができます。当院では姿勢分析、自律神経測定、体組成測定など5種類以上の検査で身体の状態を可視化し、お一人おひとりの原因を探っていきます。
手技による施術の刺激は神経を通って脳に届き、脳がリアクションを返すことで身体に変化が生まれます。骨格や筋肉のバランスを整え、神経伝達と血流を改善することで、自律神経が本来のリズムを取り戻す環境をつくっていくアプローチです。


施術を重ねていくにつれて、多くのお子さんに見られるのが「午後に動ける時間が早くなってくる」「朝の起き上がりが少しずつ楽になる」という変化です。完全に朝型に戻るまでには時間がかかることもありますが、動ける時間帯が午前側にシフトしていく過程で、本人の気持ちも少しずつ前向きになっていきます。
当院にご来院いただいた方から「施術を受け始めて1か月、別人のように元気になりました」「学校に行けるようになり進学もできました」といった喜びの声をいただいています。どこへ行っても改善しなかった方にも、あきらめずにご相談いただければと思います。
昇圧剤や漢方による薬物療法を受けているお子さんもいらっしゃいます。当院は病院の治療を否定するものではなく、骨格・筋肉バランスの調整や自律神経へのアプローチという角度からサポートする、いわば「チームの一員」として機能できると考えています。病院、家庭、学校、そして整体院が連携してサポートの輪を広げることが、回復を早める大きな力になります。
自律神経の日内リズムがずれているため、夕方から夜にかけて活動モードに入ります。その結果、就寝が遅くなり、翌朝の交感神経の立ち上がりがさらに遅れる悪循環が起きやすくなります。夜の活動量を少しずつ調整しながら就寝時間を安定させることが、この悪循環を和らげる基本的な方向性です。
動けるのであれば、ぜひ出かけてほしいと思います。外の空気を吸って体を動かすことは、体力の維持と夜の睡眠の質を高めることにつながります。同級生に会うかもしれないという不安があることも理解していますが、体調を整えるための行動として前向きに捉えていただければ幸いです。
発症後1年で約半数、2〜3年で約8割のお子さんに改善傾向が見られると言われています。ただし、進学・進級のタイミングや学業への影響を考えると、できるだけ早く適切なサポートを受けることが、大切な学生時代をより充実させることにつながります。
全身の骨格・筋肉バランスを整え、自律神経にアプローチする施術は、起立性調節障害との相性がとても良いと感じています。薬だけではなかなか改善しなかったお子さんが、施術を加えることで大きく変化したケースを何度も経験してきました。まずは一度ご相談いただけると、今の状態と何ができるかをお伝えできます。


起立性調節障害は、本人もご家族も本当に苦しい思いをする症状です。「なぜ午後になると元気なのか」という疑問に正面から向き合い、仕組みを理解することが、誤解をなくし、回復に向けた適切なサポートにつながります。私自身も、かつて会社員時代に心身の不調を経験し、誰かに頼ることの大切さを身をもって知りました。一人で抱え込まずに、ぜひ気軽にご相談ください。どんな些細な疑問も、いつでもお聞きします。


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